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メールマガジン 7月
今回は、「なぜ宇宙用デバイスの半田付けは『鉛入り共晶(きょうしょう)はんだ』でなければならないのか?」についてです。
現在、一般的には安全性が高く環境負荷の低い「鉛フリーはんだ」が主流ですが、宇宙用のデバイスにおいては、あえて「鉛入り共晶はんだ」が選択されています。その理由を、技術的な視点から解説します。
1.鉛入り共晶はんだの特性と現状
(1)組成と融点: Sn(スズ):Pb(鉛)= 63:37 の合金。融点は183℃と非常に低く、中間状態を経ず液相↔固相の相変化が起きる「共晶点」を持ちます。
(2)鉛入りのメリット:低融点であることでクラック発生や部品熱ダメージが起きにくく、鉛の添加で濡れ性が良くなることから高い接続信頼性が得られます。加えて、スズにおいて発生しやすいウィスカも鉛の柔軟性により抑制が可能です。
(3)規制の現状: 一方で鉛は人体影響(脳・神経系の障害など)や環境ダメージ(地下水汚染など)のリスクが大きいことから、法律的にも厳しく規制されており、現在は鉛フリーはんだ(融点217℃~220℃)を選択せざるを得ません。
(4)鉛フリーの課題: 結果として、鉛が寄与している接続信頼性や長期信頼性に対しては劣ってしまいます。
2.致命的な「ウィスカ」の発生について
(1)ウィスカ現象: 金属の内部応力を開放するために、外側へ針状結晶が成長する現象です。
(2)リスク: パターン間のショートを引き起こすリスクが高く、スズで顕著に現れます。
(3)鉛の効果: 鉛の柔軟性を活かすことで、ウィスカの発生をほぼゼロに抑えることが可能です。
3.宇宙環境における絶対条件
宇宙という環境下では、以下のような要因が加わるため、高い接続信頼性が必須となります。
(1)熱応力: 120℃ ↔ —150℃ という激しい熱衝撃により、接続部へ高い応力が生じます。
(2)機械的応力: 打ち上げ時の激しい衝撃に耐える必要があります。
(3)無重力の影響: 応力開放がより顕著となり、ウィスカ発生が著しくなります。
(4)修理不能: 宇宙空間での修理は容易ではないため、初期の信頼性がすべてとなります。
4.結論
宇宙の過酷な環境条件に対し、十分な信頼性を得るためには、人体・環境への安全性をトレードオフにしてでも「鉛入り共晶はんだ」を選択せざるを得ないのが現状です。
当社は、基本的には鉛フリーはんだでの加工を受託しておりますが、意図しない鉛の混入を回避しながら共晶はんだへの対応も検討しておりますので、ご要望がありましたら遠慮なくお問い合わせください。
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