各種ベアチップ微細実装、液晶パネル精密貼合わせ、試作から量産まで一貫受託!


お知らせ

イベント・展示会ご案内、商品情報などタイムリーに発信しています。


今回のお題は気密封止についてです。

 当社のコア事業の中に「気密真空パッケージング」というテクノロジー分野があります。この技術はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems、「微小電子機械システム」)の発達を支える極めて重要なテクノロジーです。

 MEMSは構造が立体的で可動部を有する点が特徴的であり、全長はミリメートル単位、その部品はミクロン単位という極小の世界です。今日ではMEMSは半導体同様にあらゆる製品の中に存在しています。もともとは自動車のエアバッグを作動させるための加速度センサーとして採用されたのが始まりと言われていますが、スマートフォンにさまざまな機能が搭載されるのに伴い、加速度センサー、ジャイロセンサー、マイクロフォン、気圧センサー等のMEMS製品がたくさん組み込まれています。スマートフォンには水晶振動子・発振器も複数個入っていますが、これらもMEMSの代表的な製品です。スマートフォンは全世界で毎年12億台以上が生産されますから、使われるMEMSの生産量も莫大なものになります。
 
 MEMSには非常に微細な可動部があります。この可動部がきちんと作動するためには、空気抵抗を軽減しなければなりませんし、赤外線センサーでは高感度化のために気体による熱伝導を避けることが求められますので、センシング素子はセラミックパッケージの中に実装され、フタをして真空封止(窒素封止等)します。ここがしっかりと封止されないと空気が入ったり、窒素ガスがリークしたりして、期待するMEMSの性能が発揮できません。ですから、どんな技術でどのような封止を行うか、そのためにどのようなノウハウが必要なのかが、MEMSの性能を左右する重要な要素となるわけです。

 当社はパッケージ実装~気密封止(シーム溶接)~グロスリークテスト~ヘリウム加圧~ファインリークテストと一貫した設備、技術ノウハウを有しており、お取引先、大学、研究機関等の皆さまからの試作・量産ニーズについて幅広く対応させていただいております。特に、最先端MEMSや特殊な半導体の性能を究極的に引き出したいという開発レベルの案件についても、お問い合わせをいただきます。

 このような「気密真空パッケージング」装置や技術ノウハウを有する企業は国内にはあまり多くありませんし、当社は試作・少量多品種の量産を始めとして、お客様のさまざまな技術的なご要望にも柔軟に対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

 以下、余談です。しばらく前に警備保障会社が提供している「見守りサービス」に加入しました。家の中に人感センサーを設置して、離れたところに住んでいる実家の親などの安否をリアルタイムで確認できる仕組みです。確実に動きが把握できるところ(例えば、トイレの前など)にセンサーを設置し、スマホでいつでも動きの有無を確認できます。また、センサーに12時間反応がない場合は、警備員が実際に訪問して安否を確認してくれます。警備保障は不審者の侵入を感知するのが基本のビジネスモデルですが、家の中に動きがないことを感知して事業化にするという逆転の発想力に感心します。(T)


イングスシナノは、10月に開催される諏訪圏工業メッセ 2023へ出展いたします。

  • 会場:岡谷市民総合体育館・テクノプラザおかや
  •    ※ 今年から会場が変更になります!
  • 日時:10/19(木)~21(土)  9:30-16:30
  •              (最終日のみ16:00終了)
  • 弊社ブース:岡谷市民総合体育館 西体育館<1F> ブースNo.063
  •         (ものづくり支援センターしもすわ共同ブース)
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岡谷市民総合体育館 西体育館<1F> ブースNo.063




今回のお題はDXについてです。

 DXとはデジタルトランスフォーメーションのことで、経産省は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義していますが、なかなかピンとこないというのが正直なところです。国内有数のIT企業のHPに「全員参加型DX」というような資料がありましたので読んでみましたが、なにやら難しい図表が多くて・・・

 いずれにしても、従来のIT化では不十分で、例えば、生産性の向上という観点でいえば、センサーとAIによる異常検知や故障予兆検知、クラウドサービスの利用による運用負荷の軽減、場所を選ばない業務遂行、ペーパーレス化による利便性を向上により省人化・省力化を推進することで、従業員は定型的な作業から解放され、新しい価値創造に集中できるということだそうです。

 当社は諏訪圏ものづくり推進機構の「半導体関連分野の製造企業を対象に産官学金の連携で伴走支援を行う」という取り組みに対象企業に選定いただきました。ものづくり推進機構としては、「DXに関連した課題解決の伴走支援を行い、経営・デジタルに関する専門的な知見やノウハウにつながる活動を推進し、諏訪ブランドの構築に繋げたい」ということで、すでに、事務局メンバーが2度ほど来社し、当社の実情や期待するDXへの支援等について意見交換をいたしました。

 当社としては生産面ではかなり以前から生産管理システムを導入済みで、手前味噌でいけませんが、中小企業としてはかなりのレベルでIT化を進めてきましたので、今回は営業面に焦点を絞って「営業DX」に取り組みたいと考えています。当社は試作業務を手広く扱っていますので、取引先も多岐にわたっており、また、営業メンバー間、生産部門、経営とのタイムリーな情報共有→営業戦略の策定など多くの課題を抱えています。営業活動自体もこれを機に変革していくことができれば、政府の言う「プロセスを変革し、競争上の優位性を確立する」というDXの定義にも則した取り組みになるのではと期待しています。

 以下、余談です。先日、混雑したあずさ号の前の座席に目の不自由な方が乗って来られました。同行者もいたので特に困っておられる様子もなく、茅野駅で降りて行かれました。私はすぐ後ろに乗っていたのですが、降りられるときに盲導犬を連れていることに初めて気がつきました。それまでに2時間弱の間、盲導犬にまったく気が付かなかったのです。本当にまったく気配もなかったことに驚きました。夏の暑い時期、水分の補給などはどうしているのだろうかと少し心配にもなりましたが、ホームを先導していく様子で大切に扱われていることが見て取れました。(T)



今回のお題は信州酸化ガリウムデバイス化研究会についてです。

 当社は、今年度より長野県産業振興機構が進めている信州酸化ガリウムデバイス化研究会に参画いたしました。この研究会は、信州大学の干川特任教授の酸化ガリウム結晶育成技術、およびこれを用いたデバイス化技術を推進するための産官学連携プロジェクトです。長野県は、産業総合技術研究所(産総研)のミニマルファブで量産技術を確立し、1,000億円規模の企業を長野県に創生することを目論んでいます。

 酸化ガリウムは、日本が国を挙げて取り組んでいるパワー半導体(以前、このコラムでも取り上げました)の高性能化に大きな可能性を付加する基板(ウェハー)です。パワー半導体を生成するウェハーにはSi(シリコン)、SiC(シリコンカーバイト)、GaN(窒化ガリウム)等が使用されます。特に、大きな電流を扱うことのできるワイドギャップパワー半導体にはSiCやGaNが用いられますが、この分野において酸化ガリウムは大きな可能性があると評価されています。

 酸化ガリウムのメリットは、まず物性値が優れていることです。例えば、パワー半導体の性能を示すバンドギャップはSiの5倍、SiCやGaNと比べても1.5倍です。また、市場シェアを拡大するてめに必須である生産コストも、今回の干川教授の方法によればSiCやGaNと比べて安価に大量に生成できると言われています。さらに、酸化ガリウムは過酷な環境下での無線通信、情報処理デバイス用途に大きな可能性があり、実際、ガンマ線照射耐性が高いことから宇宙応用に求められるレベルを十分に満たすことが検証されています。一方、酸化ガリウムは熱伝導率が低く、p型ドーピングが難しいなど、解決すべき課題も大きいようです。

 当社は半導体等のベアチップ実装を主たる事業としており、パワー半導体に関する案件も多く受託しております。酸化ガリウムのインゴットを高品質かつ安定的に生成し、それを確実にウェハーにするために本研究会の参加メンバーが協働していますが、さらにこれをパワーデバイス化するためには、実装技術の開発・確立が必要となります。酸化ガリウムには上述したような熱伝導率の難しい特性もありますから、早い段階から実装という観点で酸化ガリウムウェハーに触れて、その特性や最適な実装方法を先回りして考えていくことが大切と考えております。

当社はパワーデバイスを始めとして、ベアチップ実装・COB実装等についてのさまざまな技術課題の解決や実装プロセスの構築相談などを承っておりますので、お気軽にお声がけください。

 以下、余談です。

 バスケットボールに関心のない方でもマイケル・ジョーダンのことや、ナイキのシューズ(エアジョーダン)をご存じかもしれません。エアジョーダンのスニーカーが途方もないプレミアムで取引されたというようなニュースも時々報道されます。このナイキとエアジョーダン誕生の物語を題材とした映画『AIR/エア』を見る機会がありました。NBAに入団が決まったばかりのマイケル・ジョーダンと、ナイキのバスケットボール部門が、エアジョーダンというブランドでスポーツ界と現代文化に革命を起こしたパートナーシップを描く実話をもとにした物語です。マイケルジョーダンは1984年にシカゴブルズに入り、その後の活躍は言うまでもありませんが、彼が履いていたシューズにこんな裏話があって、エアジョーダンがナイキを世界的なブランドとする原動力であったことが分かります。


今回のお題は蚕種(さんしゅ)についてです。

当社は信濃蚕業(さんぎょう)株式会社として1946年に創業しました。蚕業ということですから「蚕」に係わる仕事(蚕種、養蚕、製糸、織物)であり、その中で蚕種を生業としておりました。養蚕の期限は中国であり日本には弥生時代に伝わり、魏志倭人伝にも養蚕に関する記述があるようです。蚕種は聖徳太子の時代に韓国経由で持ち込まれましたが、本格的な養蚕は江戸時代に始まったとされています。

ところで、「蚕種」とは商品化した蚕(かいこ)の卵のことです。蚕種の良否は養蚕の豊凶や生糸の品位を左右しますから、品質の高い蚕種をいかに生産するかが課題です。江戸時代、蚕の病気を媒介する昆虫が少ない特異地域(福島市、上田市周辺)に特産地が成立しました。1850年頃(安政年間)、蚕糸業の先進国はイタリア、フランスでしたが、蚕種に微粒子病が蔓延したため日本に蚕種輸出の要請があり、多くの蚕種業者が外貨の恩恵を受けました。明治以降、蚕業は国家の重要な産業であり、大臣の許可を受けた者だけが蚕種の製造販売を行い、病毒検査から販売する蚕種1箱(2万粒)ごとの内容表示に至るまで法律によって規制さていました。

日本の蚕業は1960年代から徐々に右肩さがりとなり、当時の経営は蚕種生産が年間100万箱を下回った時点で会社の業態を変えなければならないと考えていたとのこと。当社が蚕業から精密機器組立への業容を変換しはじめたのは1968年頃ですから、この頃、蚕種ビジネスに見切りをつけたということになります。

さすがに当時のことを覚えている人は社内にも少ないのですが、1969年に入社したという方からときどき当時の様子を聞くことがあります。その中で、蚕種は高品質な繭を農家が作るための大元であり、品質管理には非常に気を配ったとのこと。また、蚕種(卵)を効率的に生産する仕組みが通常の養蚕(生糸生産)とは別にあり、養蚕では不要?な成虫(蛾)を取り扱うことが主要なサプライチェーンでした。ちなみに雄雌の判別も、幼虫、さなぎ、成虫のどの段階でも可能で、この判別を専門にする社員もいて、各地の農家に外出して作業を行っていたとのことです。

当社には蚕種事業に使った道具や治具などが倉庫に少し残っていますが、多くは蚕糸博物館に寄贈しました。かつて日本経済を支えて歴史的な産業でありますので、もし、ご興味があれば出かけてみてください。

最後に上述の方から聞いたエピソードをひとつ。蚕のさなぎが食用になっていたことは比較的知られていると思いますし、韓国では珍味としていまでも食べられていますが、雄の成虫(蛾)の羽をとった胴体部分を炒り煮にして食べたとのこと。しかも、これが美味で、当時、これを飲み屋に持っていけば酒代になったと懐かしそうに話していました。にわかに信じられないので、当時、親御さんが蚕種事業に従事していた人に聞いてみましたら、やはり「美味しかった」とのこと。昨今、昆虫食は、高たんぱく、低カロリーで注目を集めていますから、また誰か商品化するかもしれませんね。


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