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新年、あけましておめでとうございます。
さて、2023年最初のお題は『日本型EMS』についてです。

 EMSとはElectronics Manufacturing Service(電子部品等の受託製造サービス)を意味します。日本の下請外注生産方式をもとにして、米国のシリコンバレーで商品の企画や設計を行うファブレス企業が、標準化されたモジュールを大量かつ低コストで生産する仕組みであり、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などがその代表です。長く続いた円高の影響もあり多くの日本の製造業が競争力を失ったひとつの要因と言われています。
 
 実際、2010年頃には日本産業が抱える問題として、6つの要因が挙げられていました。①超円高、②法人税の実効税率の高さ、③自由貿易協定の遅れ、④電力価格問題、⑤労働規制の厳しさ、⑥環境規制の厳しさで、いわゆる「6重苦」問題と言われ、この企業環境の悪化により、日本の産業が国内における立地競争力を失い、空洞化が進んだという現象が顕著でした。

 ところが、こうした厳しい環境下においても、実は日本のEMSはしぶとく生き残っています。その理由として、①日本型EMSは海外大手EMSが手がけられないニッチ領域で存在感を発揮していること。②前述の6重苦とは逆に、円安、経済安全保障(サプライチェーン)、国内生産による差別化、made in Japanの再認識などの追い風があること。③国内大手メーカーがリソースを開発、設計、マーケティング等に集中し、モノづくりをアウトソーシングする流れが改めて顕著であることなどがあげられます。

 当社も日本型EMSの一社として国内生産による差別化を図っており、①少量多品種対応、②短納期=柔軟性、③高度な品質保証体制(ISO9001,IATF16949, ISO14001)、④BCPの充実、⑤試作から量産までのシームレス対応、⑥貼合・実装に関する高度な技術力とそれを担うエンジニアの育成・確保等を中・長期的な観点から進めております。これらについて地道な努力を積み重ねることにより、日本型EMSとして「なくてはならない存在」と皆さま方からのご評価をいただけるのではないかと考えております。

 マスコミでも繰り返し報道されていましたが、ユーラシア・グループ(世界最大の政治リスク専門コンサルティング会社)が2023年のリスクをリストアップしています。ワースト5は、①ならず者国家ロシア、②習主席への権力集中、③大量「混乱」兵器、④インフレの衝撃波、⑤追い込まれたイランだそうです。さらに残る5つのリスクとして、⑥エネルギー危機、⑦健康・教育・生活水準の指標である人間開発指数の停滞、⑧米国の分断、⑨デジタルネイティブ世代(Z世代)の台頭、⑩水不足をあげています。どれも世界規模でのリスク回避が必要な案件ですが、私たちの生活も企業活動もこれらのリスクと無関係では成立しませんので、自らのフレキシビリティを高め、臨機応変に乗り切っていきたいと思います。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。