各種ベアチップ微細実装、液晶パネル精密貼合わせ、試作から量産まで一貫受託!


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今回のお題は信州酸化ガリウムデバイス化研究会についてです。

 当社は、今年度より長野県産業振興機構が進めている信州酸化ガリウムデバイス化研究会に参画いたしました。この研究会は、信州大学の干川特任教授の酸化ガリウム結晶育成技術、およびこれを用いたデバイス化技術を推進するための産官学連携プロジェクトです。長野県は、産業総合技術研究所(産総研)のミニマルファブで量産技術を確立し、1,000億円規模の企業を長野県に創生することを目論んでいます。

 酸化ガリウムは、日本が国を挙げて取り組んでいるパワー半導体(以前、このコラムでも取り上げました)の高性能化に大きな可能性を付加する基板(ウェハー)です。パワー半導体を生成するウェハーにはSi(シリコン)、SiC(シリコンカーバイト)、GaN(窒化ガリウム)等が使用されます。特に、大きな電流を扱うことのできるワイドギャップパワー半導体にはSiCやGaNが用いられますが、この分野において酸化ガリウムは大きな可能性があると評価されています。

 酸化ガリウムのメリットは、まず物性値が優れていることです。例えば、パワー半導体の性能を示すバンドギャップはSiの5倍、SiCやGaNと比べても1.5倍です。また、市場シェアを拡大するてめに必須である生産コストも、今回の干川教授の方法によればSiCやGaNと比べて安価に大量に生成できると言われています。さらに、酸化ガリウムは過酷な環境下での無線通信、情報処理デバイス用途に大きな可能性があり、実際、ガンマ線照射耐性が高いことから宇宙応用に求められるレベルを十分に満たすことが検証されています。一方、酸化ガリウムは熱伝導率が低く、p型ドーピングが難しいなど、解決すべき課題も大きいようです。

 当社は半導体等のベアチップ実装を主たる事業としており、パワー半導体に関する案件も多く受託しております。酸化ガリウムのインゴットを高品質かつ安定的に生成し、それを確実にウェハーにするために本研究会の参加メンバーが協働していますが、さらにこれをパワーデバイス化するためには、実装技術の開発・確立が必要となります。酸化ガリウムには上述したような熱伝導率の難しい特性もありますから、早い段階から実装という観点で酸化ガリウムウェハーに触れて、その特性や最適な実装方法を先回りして考えていくことが大切と考えております。

当社はパワーデバイスを始めとして、ベアチップ実装・COB実装等についてのさまざまな技術課題の解決や実装プロセスの構築相談などを承っておりますので、お気軽にお声がけください。

 以下、余談です。

 バスケットボールに関心のない方でもマイケル・ジョーダンのことや、ナイキのシューズ(エアジョーダン)をご存じかもしれません。エアジョーダンのスニーカーが途方もないプレミアムで取引されたというようなニュースも時々報道されます。このナイキとエアジョーダン誕生の物語を題材とした映画『AIR/エア』を見る機会がありました。NBAに入団が決まったばかりのマイケル・ジョーダンと、ナイキのバスケットボール部門が、エアジョーダンというブランドでスポーツ界と現代文化に革命を起こしたパートナーシップを描く実話をもとにした物語です。マイケルジョーダンは1984年にシカゴブルズに入り、その後の活躍は言うまでもありませんが、彼が履いていたシューズにこんな裏話があって、エアジョーダンがナイキを世界的なブランドとする原動力であったことが分かります。