各種ベアチップ微細実装、液晶パネル精密貼合わせ、試作から量産まで一貫受託!


メールマガジン

 今回のお題は『全固体電池』についてです。

 『全固体電池』が急激に存在感を増しています。私たちが日頃使っている乾電池も固体電池ですが、電気自動車やパソコン、スマホ等に搭載されているリチウム電池(充電して繰り返し使える電池で二次電池と呼ばれます)は、金属を材料として使う2つの電極(正極と負極)と、その間を満たす液体の電解質によって構成されています。全固体電池はこの電解質にも固体を用いるところが従来の二次電池とは異なり、リチウム電池にはないさまざまな特徴があります。

 まず、低温から高温まで耐えられることがあります。中国や欧米の極低温下で電気自動車が動かなくなったという報道がありますが、全固体電池は電解質が凍るようなことはないので電池の性能が下がりません。また、電池は急速に充電すると熱を持つので、高熱に強い特徴は、急速充電をする場合にも有利です。電池の寿命は電解質の性質によりますが、この点でも全固体電池は電解質の劣化が少ないので寿命を伸ばすことが可能になります。このように現在の二次電池に比べれば夢のような特徴をもっており、世界中の企業が開発にしのぎを削っています。

 全固体電池の用途としてもっとも注目されているのが電気自動車です。既存の電気自動車は事故などでひとたび発火すると消火が難しいと言われますが、全固体電池では可燃性の有機溶媒を含まないので発火のリスクが小さくなります。また、電気自動車はガソリンによる給油に比べると時間がかかりますが、全固体電池では急速充電が可能です。

 一方、実用化に向けては解決しなければならない大きな課題もあります。固体電解質と電極をどのように密着しておくか。エネルギー密度を上げるためには大きな電力を蓄えられる電極が必要であること。製造工程も従来のリチウム電池とは異なるので、水分に弱い固体電解質を取り扱う場合には、厳密な水分管理が可能となる専用設備も必要になるようです。もし、全固体電池が主流になれば、既存のリチウム電池の製造ラインが陳腐化してしまいますから、既存のラインを活用できるような新世代のリチウム電池を開発している企業もあります。いずれにしても、電気を溜めるというのは永遠の課題であり、今後もさまざまな技術や電池が登場してくると思います。

 当社は本社事業所の建物のほぼ全ての屋上に太陽光発電システムを屋上に増設しました。延べ面積1,800㎡にパネル約460枚を設置し発電した電力はすべて自家消費します。これにより削減できる二酸化炭素は120トンを見込んでいます。当社は長野県SDGs推進企業に登録済であり、今後も環境に配慮した事業運営を行っていきます。(T)


今回のお題は『真空』についてです。

 『真空』という言葉は日常生活でも頻繁に目にしますが、実は『真空』という状態・環境はさまざまな産業で幅広く活用されています。日本工業規格(JIS)では「真空とは、通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態」と定義しています。

 私たちの真空のイメージは、酸素が減る、音が聞こえなくなる、電気を通さない、熱が冷めない、沸点が下がるというようなものがあります。もう少し整理すると、①大気圧との圧力差、②長い平均自由行程、③放電しやすさ、④高摩擦、⑤熱伝導のしにくさとなります。これらの特徴を利用する身近な応用技術を少しご紹介します。

 たとえば、毎日使う掃除機は真空の吸引効果を利用しています。歯の治療中に唾液を吸引する器械、布団圧縮、新幹線のトイレ等も身近な真空環境の利用です。また、酸化防止効果は食品の保存(真空パック)に使われています。インスタントコーヒーは、材料を真空状態のまま乾燥させることで材料の水分を飛ばしやすくする方法で作られます。弁当用の小さな醤油入れのなかに液体を引き込むのも、容器の内外圧力差を利用しますし、魔法瓶も真空の断熱効果を活用しています。

 このような身近な例だけではなく、真空は産業分野でも広く活用されています。真空蒸着は、物質を減圧状態において加熱し蒸発させ基板に被膜を作る現象を利用して薄膜を形成します。スパッタリングはプラズマ中のイオンを材料にぶつけると、その材料がはね飛ばされる減少を利用した薄膜形成の方法です。半導体の製造工程でも使われますが、CDの表面加工などもこの方法で行われます。

 当社でも真空をいろいろな製造工程で活用しています。以前、このメルマガでもご紹介しましたが、MEMSはごく小さく(Micro)機械的に動く(Mechanical)可動部を備えていますから、この微細が可動部を正常に作用させるためには、環境におけるさまざまな阻害要因から保護することが必要となります。この目的のために、MEMSを搭載する封止環境を真空にして、空気の粘性抵抗を減らし、真空封止内部からのアウトガスを防ぐための対策をとりますが、この真空封止を当社では幅広く承っております。真空封止に必要な先端設備も取り揃え、取り扱う作業者にはマイスタークラスのベテランを配置し、他社ではできないような高度なご依頼にも対応しておりますので、ぜひ、お気軽にご用命ください。

 以下、雑談です。この時期になりますと上諏訪駅周辺には何百羽ものカラスが集まってきます。特に、夕方は寝床を求めるカラスが上空を覆いつくす異様な光景が毎日繰り返されます。当社のある下諏訪駅周辺には一羽も来ないのですが、近隣住民の皆さんには大変迷惑なことと思います。実は、このカラスは渡り鳥の一種で、冬になるとシベリア方面からやってくるようです。地元でごみをあさって嫌がられるカラスとは異なる種類で、春になればいなくなります。とはいえ、あまり気持ちのよいものではないので、行政等も対策を練っていると思いますが、いまのところ春になるのを待つしかない状況です。

(T)


 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 2024年第1弾のメルマガは当社ホームページの「技術資料」についてです。

 今回は、ホームページにアップしています技術資料のダウンロードについてご紹介したいと思います。トップページの「技術資料ダウンロード」というバナーをクリックしていただきますと、当社の保有技術について解説したホワイトペーパーがダウンロードできます。(アクセスいただく場合にはメールアドレス等の簡単な登録をお願いしています。)

 現在アップロードしている技術資料では、主に貼合(てんごう;ラミネーション)関係の技術について触れています。いくつかタイトルを列記しますと「貼り合わせ技術紹介」「フィルム貼合の方式について」「表面改質について」「2.5D曲面貼合について」「3D形状へのフィルム貼合」・・・などです。それぞれ、実際に仕事をするなかで感じた疑問や技術的なポイントを、専門の技術スタッフがまとめたものです。これらの技術資料にアクセスされる皆さまは、技術に詳しい方も多いと思いますが、図表なども取り入れて、一般の方々にも分かりやすいように工夫しています。

 例えば、OCA、OCRなど、貼合業界では一般的な用語ですが、なじみのない方々も多いかと思います。そこで「貼り合わせ技術紹介」では、それぞれの工法のメリット・デメリットなどにも言及して解説をしています。当社が得意とする技術に曲面貼合がありますが、これについても2.5D、3Dと形状別に技術解説をしてあります。

 今年は、この技術資料をさらに充実して半導体ベアチップやLEDの実装技術、精密組立技術についても取り上げていきたいと考えています。また、新しい技術資料をアップした際は、メルマガやホームページでお知らせいたします。

 話は変わりますが、当社は長年に亘り、松本山雅FCを応援しています。昨シーズンはJ2復帰を期待していましたが、残念ながら来シーズンもJ3での試合となりました。一時はJ1で頑張っていた頃もありますので、J3(沼?)を抜け出してJ2、J1へと復活して欲しいです。J1で神戸が優勝した試合や、J2から東京ヴェルディが昇格した試合などは大変な盛り上がりでした。ぜひ、来年は選手、観客、スポンサーが一体となって私たちも喜びを分かち合いたいと思います。

(T)


今回のお題は、組立事業についてです。

 当社のルーツが蚕業であることは以前のメルマガでもご紹介しましたが、その次に主柱事業となったのが精密組立です。近隣の精密機器メーカーからウオッチやカメラのユニット組立を受託して加工賃をいただくという形で事業を行っていました。精密組立は第2のルーツということになりますが、現在でも、メカ系、光学系、電子系など多様な精密組立量産を一貫して承っております。

 かつて、この諏訪エリアには「精密」組立を受託する中小企業がたくさんありましたが、完成品メーカーは国際競争に勝ち抜くために、より低廉なコストでの組立が可能となる東南アジア各国への展開を積極的に進めたことなどもあり、当社のような精密組立を継続している企業はずいぶん少なくなりました。

 当社は、こうした量産主体の組立受託以外にも、例えば、展示会用のユニットや限られた数量の特殊な製品の組立などの引き合いもいただいております。また、貼合や実装の製造工程で必要となる治具製作などを含めたご依頼も頻繁にいただきます。こうしたニーズについては、社内のエンジニアがCADを使って設計を行い、外部から必要な部材を調達してお客様のニーズに応えています。また、社内で対応が難しいケースについては、近隣のメーカーに協力をお願いして完成させるようなケースも多々あります。

 当社は、半導体やLEDの実装、高機能フィルムの貼合やディスプレイ実装などを主柱事業としていますので、これら事業と精密組立を一気通貫で受託できるところに特徴があります。また、光学機器製造技能士1級を有するメンバーもおりますし、医療機器関係についても製造業ライセンスを獲得するなど、特徴ある精密組立の実現に向けて今後も努力を継続していきます。

 以下、余談です。この時期になりますと、柿が色づいてきますが、たわわに実った柿を収穫する家庭も少なくなって、多くの柿がそのまま放置されます。この地域は渋柿がほとんどで、食べるためには、干し柿にしたり、「さわし」柿にしなければなりませんが、いずれも結構手がかかります。(このあたりの方言でいう「ずく」がいるわけです)それで、多くの柿が放置されることになります。柿は渋いのでほとんど害虫の被害もありませんし、農薬なども不要で、放っておいても大丈夫です。また、栄養価も非常に高いとも聞いていますので、柿の需要を回復する良いアイディアがないものかと、毎年思う次第です。(T)


今回のお題は、日本の半導体産業についてです。

 経済産業省は2022年6月に「我が国半導体産業復活の基本戦略」(以下、基本戦略といいます)をリリースし、この戦略に則ってさまざまな政策を展開しています。当社に関係が深い部分について少しピックアップしてみました。

 まず、パワー半導体についてです。基本戦略では「日本列島をパワー半導体の世界拠点に」と位置づけています。パワー半導体は、電気自動車などの世界的なグリーン投資の後押しで今後も需要が拡大すること。特に省エネ性能に優れたSiCパワー半導体は今後10年間で24倍!(3.4兆円)になることが見込まれること。激化する国際競争を勝ち抜くために国内での連携・再編を図ることで、日本全体としてパワー半導体の競争力を向上すること。そして日本を欧州、米国とならず世界の第三極の拠点となるとしています。当社もパワー半導体に関する実装案件を受託していますが、さらに技術・ノウハウを高め、最先端装置の導入も積極的に実施していきます。
 当社メルマガのバックナンバーで、信州酸化ガリウムデバイス化研究会に参加していることに触れましたが、酸化ガリウムはSiC(シリコンカーバイト)よりもさらにパワー半導体の性能をアップさせることができる基板と言われおり、基本戦略でも次世代グリーンパワー半導体として、GaN(窒化ガリウム)とともに取り上げられています。

 もうひとつが、最先端実装についてです。素子や電子回路の配線幅の微細化が限界に近づいていると言われるなかで、半導体の高性能化のために、一枚の基板上にロジック半導体とメモリーなどを同時に実装するチップレット技術が注目されています。このためには基板を垂直に実装する技術が必要であり、世界中のメーカーが開発に躍起となっています。日本には、世界有数の基板、材料、装置メーカーがあり、海外ファンドリーやOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)メーカーとも連携を進めるとしています。

 当社はベアチップICやLEDなどの実装を数多く承っておりますが、上記のような最先端実装にも積極的に取り組んでいく予定です。また、当社は他社の資本等が入っていない独立系企業です。あらゆるお取引先からのニーズに柔軟に対応できますので、遠慮なくご用命ください。

 以下、余談です。先日、電池で駆動のアナログクォーツウォッチを購入しました。メカウォッチやソーラーウオッチなども何本か使っているのですが、クォーツウオッチは定期的な電池交換は必要ですが、多少、放っておいてもいつでも正確な時間を表示しますので、結局、一番使いやすいと思っています。ところが、近所の時計店にはほとんどアナログクォーツウオッチが売っておらす、メーカーのカタログにもめぼしい商品がほとんどありませんでした。国内外のメーカーの主流はすべてメカウォッチであり、価格も10万円以上が普通という様子です。かつて、アナログクォーツウオッチは、メカウオッチを駆逐したのですが、消費者の嗜好は、時とともに変わっていくものだと改めて感じました。

 弊社のホームページにメルマガのバックナンバーをアップしてありますので、覗いてみていただければ幸いです。(T)